ドア色々

このところ無垢の建具のご要望にお応えする機会が増えています。

こちらは栗材で制作した門扉です。
上部を円弧に加工し、ロートアイアンの金物をあしらい雰囲気を出しています。何より栗材の木目がいい感じです。

雨ざらしになる部分に取り付けられるご要望でしたので、
雨に強い栗材を使用し、細部は雨水の溜まらない仕様にするなどできる限りの工夫を凝らしました。定期的な塗装メンテナンスは必要ですが、金属製にない風合いがあります。

そして最新の案件がこのブビンガの店舗ドア。

アフリカ原産のブビンガ材の塊を製材所で挽き割ってもらい使用しました。
一つの塊からドアのメインの構造になる部分には反りにくいまっすぐな木目(柾目)を、落とし込みの部分には木柄がダイナミックで目を引く木目(板目)をレイアウトし、色目を揃えつつインパクトのあるドアに仕上げました。ブビンガの硬さにはホゾ穴開けの機械が負けそうになっていましたが。。

現場に取り付けた模様がこちら。
親子ドアとして製作し、型板ガラスをはめ込んでいます。
京北の国道沿いのお店ですのでお越しの際は探してみてください。

カウンターチェアー

オーダーメイドでカウンターチェアーを製作しました。

コナラ材、アクリルテープ張り。
高さ85㎝のキッチンカウンターの高さに合う椅子を、とのご要望で、通常の座面高さより15㎝高く設計しました。
通常の椅子よりも高さが出る分サイズ感が大きくなりすぎないように慎重に設計し、ハーフアームも付けて程よい掛け心地、程よいサイズ感の椅子になったと思います。食卓用の椅子の場合あまり深い掛け心地では食事の動作に移りにくいので体が前に押し出されるのがよいという話を聞いたことがあります。座面の奥行きを深く取らず、背もたれも立て気味にすることでそういう掛け心地になるのですが、極端すぎるとそれはそれで緊張感が出てしまうので程よい加減を探さなくてはいけません。 椅子製作の蓄積が生きる部分です。

そぎ落として線は細いながらも、シャープで無機質になり過ぎないで優しい印象も残し、かつ丈夫な椅子にと、細部に意図を込めて製作し理想的なカウンターチェアーにすることが出来たと思います。

栗の食器棚

このところ日々の仕事は家具製作と小物製作を織り交ぜながら。品目は椅子、豆皿、長皿、お盆、弁当箱など多岐に渡っております。

そして先日大きな食器棚をお納めしました。

W2300 H900 D400  栗材
ご近所に住む陶芸家夫妻のご依頼です。年月とともに増えてきた作品を仕舞いきる為になるべく大きなサイズで、凹凸を少なく「ハコ」の印象の棚を、とのご要望にお応えして製作しました。

自家製材の目の積んだ栗材を使用。国内の広葉樹材は長さが2mほどの丸太が多いのですが、今回は3メートル材をキープしていたものが使い頃になっていてよいタイミングでした。
壁沿いに置かず部屋の中央で置くため、背面も栗材がはめ込んであります。高さはキッチンの高さに合わせた900㎜でカウンターとしての役割も担います。

自家製材の材がようやく乾いてきて使い頃になり、実際に家具製作に使用できるサイクルが出来つつあります。丸太の状態に応じて用途別に製材するところから管理するので手間と年月はかかりますが、ウッドショックで材の供給が滞り気味な世相を間近で見聞きすると、こういった地道なやり方も確実で意味のある方法だと感じます。

杉の収納、ヒノキの建具

今年も田んぼのシーズンがやってきました。
仕事の面では色々なものを作っているので季節的に決まった動きはない中、4月になればごそごそと田んぼの準備を始めるルーティンが逆に心地よく感じられるようになりました。何かと手間は取られるのですが、大事な暮らしの一部になっています。

さて、少し前に納めた案件です。
京北の新築のお宅に収納、建具を製作させていただきました。

京北の杉、ヒノキで製作。特に杉については狂いの少ない柾目の材を使用しました。目の通った緻密な木目で、床板、壁板の杉の印象とは違った端正な印象になります。柾目の材は一本の丸太からは少量しか取れないので貴重なものなのですが、その点産地であるここ京北は求めやすい環境です。
出来立ての今はスッキリとして控えめな表情ですが、経年変化で年と共に風合いが増していくはずで、突板製の家具にはない魅力です。

建具は大小沢山製作させていただいたのですが、今回引き戸の引手に新たな意匠を取り入れてみました。茶室などの引き戸の作りをアレンジした掘り込みで、さりげない印象が好みです。

地域材を自分なりに取り入れ活かす方法を一つ一つ見つけて引き出しを増やしていく。今回の仕事でいくつかの引き出しを身に付けることが出来ました。

第三回きょうと椅子

4月2日~4日、第三回を迎えたきょうと椅子、無事開催されました。

今回の舞台は三条通りに面した京都文化博物館。元日本銀行の洋館ホールに38脚の椅子が並びました。
毎回ながら他の作家さんの力作に気おされながらも何とか自分の創作を模索し、発表することに必死になりますが、もっともそう感じているのは僕だけではないようで、切磋琢磨できる貴重なフィールドです。
来場の方々はそういった作家の必死な裏事情はさておいて、思い思いに展示を楽しんで頂けたようで、実行委員として携わった身としては非常にやりがいを感じることが出来ました。
今回会場を撮影いただいたカメラマンさんの画像でその様子を紹介します。

そして当方の今回出品の椅子です。「yama-chair」と名付けました。

近郊産コナラを主材に、今回は座面に鹿皮を用いました。
背もたれ、笠木は曲げ木で形作ることで有機的な曲線を形作り、強度も併せ持ちます。曲げ木はしばしば型通りに曲がらず不確かな形状になる技法ですが、毎回型通りの削り出し加工よりも僕の好む「揺らぎ」を表すことが出来ると感じています。
そして鹿皮ですが、当地京北で害獣駆除の目的で捕れる鹿の皮を利用できないかと考えたのが着想でしたが、椅子の座面ほどの面積を鹿の体長から取ろうとするとよほどの大鹿でないと難しいということが分かり、今回はより寒い地域の体長の大きな鹿の皮を使いました。牛皮と違ったしなやかな質感が魅力です。地域の鹿皮については座面のより小さなスツールでの活用が現実的と思われます。
作り手がものづくりの材料をどこでどう調達するかはそれぞれの立地、考え方でそれぞれの選択がされているのだと思います。地域の材を使う、ということがいつでも最良である、とは僕も考えませんが、自分としては地域に根付き、地域の暮らしや自然に繋がった素材に興味があるし、その中に美しさを見出せるならそれを使ってものづくりしていきたいと考えます。地域に、山に目を向けて、向き合ってものづくりしていく。「yama-chair」というタイトルにはそういったテーマを込め、これからも色んな形で表現していきたいと思います。

カエデのロッキングチェアー

久しぶりにロッキングチェアーを製作しました。

メインとなる脚、もたれ、アームには近郊産イタヤカエデ、ウリハダカエデを、スピンドルには在庫していた目の通ったハードメープルを、とカエデ系材を個体によって適材適所に使用しました。
ロッキングチェアーは修行中、そして独立後ほどなくに製作して以来で、その当時の記憶をたどりながら、またその間に得た技術を盛り込んで取り組みました。より伸びやかに、使うことによって心が躍るような椅子に。ディテールの仕上げにそんな思いを込めました。

小振りの椅子、テーブル

今年もはや年の瀬。
春以降、予想もしなかった状況に見舞われた今年でしたが、なんとか年末を迎えることができました。一人でこなす仕事は相変わらず。米作りも例年通りのマイペースで、変化は比較的少なく過ごせましたが、展示などの機会の取れなかった分、近所の方の要望に応える仕事が多かったように感じます。

そんな仕事の一つ。京北の知り合いの林業家さんより、材料支給でのテーブルと椅子の製作をご依頼いただきました。

ブナ材の中でも、「イヌブナ」と呼ばれる樹種の材だそうです。
「イヌマキ」やら「イヌエンジュ」など、樹種名の頭に「イヌ」が付くのは、材木として見たときに緻密でなく、いわゆる良材と言えない木に付いた呼び名だそうですが、今回のイヌブナはテーブルと椅子製作には不測のない強度がありました。ブナ材のナチュラルな色目を損なわないように白顔料の混じったオイルを塗って仕上げ、椅子は特に調和の取れたものになったと思います。新たな定番として探求していきたいアイテムになりました。

杉の本棚

当工房の仕事場、住まいを兼ねている建物は鉄骨の大きな元工場で、内装に手を加えながらも長らく使いあぐねていたスペースがありました。
この度図書スペースとして開放しようと、本棚をしつらえました。

京北の杉材を使用。
幅5メートル半の壁面一杯のサイズで製作しました。
棚に並ぶ本は、我が家の子どもたちが愛読してきた本のほかに、
地域の方からの寄贈本、廃校になった小学校から譲り受けた本などで、将来的にもっとたくさんの本が集まっても十分な収納力があります。

また、子どもスペース用に独立した棚も製作しました。
こちらも杉材で、今回は幅広の杉材が入手できたので、幅を2枚3枚剥ぎ合わせずに1枚で構成できました。そうすることで木の生命力、杉の木目の美しさを再発見することができました。オイル塗装で木目が濃くなりすぎては主張が強くなり過ぎてしまうので、今回は無塗装で仕上げています。
さりげなくありながら、目を向ければ確かな個性を感じる存在でいてほしいと思います。

図書スペース「ほんのひととき」は、毎週木曜~土曜の朝9時~17時まで開放しています。

生木の木工

今週末6、7日、近隣で行われる野外イベント「ツクル森」内で、椅子づくりのワークショップをします。
ヒノキの未乾燥の間伐材を材料に、機械に頼らず手道具を駆使する「グリーンウッドワーク」のスタイル。



工房の普段のものづくりでは大型の木工機械や手持ちの電動工具を駆使して効率的で均質な仕事できる体勢を取っていますが、グリーンウッドワークはある意味それとは対象的で、古典的な手法です。
かつての欧米での椅子づくりは、職人が道具を背負って山に入り、借り倒した木をその場で造作して脚に加工し、座面の加工、組み立ては流通に便利な街中で行う分業体制が主流でした。
今日では木工と言えば、狂いが少ないようによく乾燥した材を使うのが基本ですので、生木で椅子を作るのは現代のセオリーに反しているようにも見えます。
ですが、乾燥の過程で材にどのような変化が起こるのかを予測しなければならなかったり、手加工での作業の中で、どこでどの方向に刃物を入れれば効率的に加工できるのかを見極めなければならな かったりと、木そのものにより精通する必要がある点で現代の木工にも大いに役立つ点が多いのです。僕自身、特に椅子づくりに関してはグリーンウッドワークを知る前と後では考え方と手法に大きな変化がありました。
グリーンウッドワークのワークショップで、生木を体を使って加工していく過程はまあまあの重労働ではありますが、生木特有の新鮮な香りを感じながらのせいもあってか爽快感を感じられるものです。森とのつながりも感じられる体験でもあるので、京北で行うにはぴったりだと思います。

既にアウトドアファンの間では多くの人に知られるグリーンウッドワークですが、もっと日本の隅々まで広がって、森と人との距離が近くなればいいなと思います。

栗の本棚

京北の知人より、
「子どもたちの教科書などをキチンとしまえるような本棚を作って欲しい」
とのご依頼をいただいたのは春の事。。
十分な準備期間、製作時間を頂き先日納品させていただきました。

ご兄妹それぞれのために、同じ形状で2台製作。
まだ小さな末のお子さんの手が届かない高さに引き出しを付けました。
一見子供家具には見えない見た目ですが、
大人になっても使える飽きの来ないデザインで、
使い込むことで今はさっぱりした栗材の色目が深みを増していきます。
ご両親の思いのこもったこの栗の本棚を、
使い続けて行ってほしいなと思います。