栗の食器棚

このところ日々の仕事は家具製作と小物製作を織り交ぜながら。品目は椅子、豆皿、長皿、お盆、弁当箱など多岐に渡っております。

そして先日大きな食器棚をお納めしました。

W2300 H900 D400  栗材
ご近所に住む陶芸家夫妻のご依頼です。年月とともに増えてきた作品を仕舞いきる為になるべく大きなサイズで、凹凸を少なく「ハコ」の印象の棚を、とのご要望にお応えして製作しました。

自家製材の目の積んだ栗材を使用。国内の広葉樹材は長さが2mほどの丸太が多いのですが、今回は3メートル材をキープしていたものが使い頃になっていてよいタイミングでした。
壁沿いに置かず部屋の中央で置くため、背面も栗材がはめ込んであります。高さはキッチンの高さに合わせた900㎜でカウンターとしての役割も担います。

自家製材の材がようやく乾いてきて使い頃になり、実際に家具製作に使用できるサイクルが出来つつあります。丸太の状態に応じて用途別に製材するところから管理するので手間と年月はかかりますが、ウッドショックで材の供給が滞り気味な世相を間近で見聞きすると、こういった地道なやり方も確実で意味のある方法だと感じます。

杉の収納、ヒノキの建具

今年も田んぼのシーズンがやってきました。
仕事の面では色々なものを作っているので季節的に決まった動きはない中、4月になればごそごそと田んぼの準備を始めるルーティンが逆に心地よく感じられるようになりました。何かと手間は取られるのですが、大事な暮らしの一部になっています。

さて、少し前に納めた案件です。
京北の新築のお宅に収納、建具を製作させていただきました。

京北の杉、ヒノキで製作。特に杉については狂いの少ない柾目の材を使用しました。目の通った緻密な木目で、床板、壁板の杉の印象とは違った端正な印象になります。柾目の材は一本の丸太からは少量しか取れないので貴重なものなのですが、その点産地であるここ京北は求めやすい環境です。
出来立ての今はスッキリとして控えめな表情ですが、経年変化で年と共に風合いが増していくはずで、突板製の家具にはない魅力です。

建具は大小沢山製作させていただいたのですが、今回引き戸の引手に新たな意匠を取り入れてみました。茶室などの引き戸の作りをアレンジした掘り込みで、さりげない印象が好みです。

地域材を自分なりに取り入れ活かす方法を一つ一つ見つけて引き出しを増やしていく。今回の仕事でいくつかの引き出しを身に付けることが出来ました。

杉の本棚

当工房の仕事場、住まいを兼ねている建物は鉄骨の大きな元工場で、内装に手を加えながらも長らく使いあぐねていたスペースがありました。
この度図書スペースとして開放しようと、本棚をしつらえました。

京北の杉材を使用。
幅5メートル半の壁面一杯のサイズで製作しました。
棚に並ぶ本は、我が家の子どもたちが愛読してきた本のほかに、
地域の方からの寄贈本、廃校になった小学校から譲り受けた本などで、将来的にもっとたくさんの本が集まっても十分な収納力があります。

また、子どもスペース用に独立した棚も製作しました。
こちらも杉材で、今回は幅広の杉材が入手できたので、幅を2枚3枚剥ぎ合わせずに1枚で構成できました。そうすることで木の生命力、杉の木目の美しさを再発見することができました。オイル塗装で木目が濃くなりすぎては主張が強くなり過ぎてしまうので、今回は無塗装で仕上げています。
さりげなくありながら、目を向ければ確かな個性を感じる存在でいてほしいと思います。

図書スペース「ほんのひととき」は、毎週木曜~土曜の朝9時~17時まで開放しています。

栗の本棚

京北の知人より、
「子どもたちの教科書などをキチンとしまえるような本棚を作って欲しい」
とのご依頼をいただいたのは春の事。。
十分な準備期間、製作時間を頂き先日納品させていただきました。

ご兄妹それぞれのために、同じ形状で2台製作。
まだ小さな末のお子さんの手が届かない高さに引き出しを付けました。
一見子供家具には見えない見た目ですが、
大人になっても使える飽きの来ないデザインで、
使い込むことで今はさっぱりした栗材の色目が深みを増していきます。
ご両親の思いのこもったこの栗の本棚を、
使い続けて行ってほしいなと思います。

クリの靴箱、ヒノキの洗面台

昨日投稿のキッチン一式と同じ物件での納品事例を。

 クリの靴箱。
 玄関スペースにスッキリ納まるサイズ。

 ヒノキと杉の洗面台。
 どちらも京北産材です。
 近郊材は入手の圧倒的手軽さがあり、適材適所でもっと使っていくべきと感じます。ヒノキは柔らかすぎずカンナ当たりも良いので節が少なければ非常に仕事しやすい材です。
 天板の杉材の防水処理が懸案でしたが、今回は社寺建築の外部塗装にも使われているガラス塗料という浸透性の塗料を使用しました。ガラスの成分と同じケイ素が漆のように木に浸透し、木の成分と同化して硬化する仕組みで、オイル塗装のような木そのものの手触りは楽しめます。特に杉は柔らかいので、この塗料で硬度を少しでも高められるのであればうってつけだと思います。

 建築とのコンビネーションで沢山のトライをさせていただいき、学ぶところの多い充実した仕事をさせていただきました。感謝。

 設計、施工:カモノセログ

山桜の箪笥

3月より段階的に製作を進めてきた山桜の箪笥が完成しました。

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w850×h800×d430の2台の箪笥を並べて使う想定で製作。
本体に山桜、引出しの内部はシナ無垢、裏板も含め、総無垢仕様です。
将来の配置換えも想定し、背面に至るまで見栄えに気を配った作りにしました。

引き出しの継ぎ手は包み蟻継ぎ。
加工自体も精度が求められますが、
加工中にも少しの温湿度変化で材はどんどん反り、動くので、
各材の動きを予測した配材が求められ、
合計箪笥8杯分の大量の材との対話を楽しみました。

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納品先は遠く鎌倉。
足を延ばして納品させていただきました。
杉材のふんだんに使用された室内で、
褐色に変化していく山桜の箪笥が時を経るごとに存在感を増すことと思います。

ヒノキの本棚

京北にも遅めの桜の季節がやってきました。

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見ごろは明日明後日ごろ。
京北の桜の名所としては常照光寺の枝垂桜がありますが、
そちらはの見ごろもう少し後になります。
春が来て、田植えの準備などみんないそいそと忙しく、
田舎も賑やかな季節です。

ヒノキの本棚を製作しました。

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修行時代の先輩、KLOSS小田さんによる質実剛健なデザイン。
今回はコスト面から採用になったヒノキですが、
ノックダウン構造にも耐える強度があり、
仕上がりを見ても、正解の選択だった気がします。
いつもヒノキを仕入れている近所の材木屋さんの話では、
ヒノキの場合ある程度節があるほうがすっきりし過ぎず味のあるものができるので、
そんな丸太を製材しているとのこと。
その話のとおりの仕上がりになったなと思います。

続いて18日からのグループ展用の椅子を製作中。
数年来の目標だったアームチェアーに挑戦。
ギリギリです。。

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