小振りの椅子、テーブル

今年もはや年の瀬。
春以降、予想もしなかった状況に見舞われた今年でしたが、なんとか年末を迎えることができました。一人でこなす仕事は相変わらず。米作りも例年通りのマイペースで、変化は比較的少なく過ごせましたが、展示などの機会の取れなかった分、近所の方の要望に応える仕事が多かったように感じます。

そんな仕事の一つ。京北の知り合いの林業家さんより、材料支給でのテーブルと椅子の製作をご依頼いただきました。

ブナ材の中でも、「イヌブナ」と呼ばれる樹種の材だそうです。
「イヌマキ」やら「イヌエンジュ」など、樹種名の頭に「イヌ」が付くのは、材木として見たときに緻密でなく、いわゆる良材と言えない木に付いた呼び名だそうですが、今回のイヌブナはテーブルと椅子製作には不測のない強度がありました。ブナ材のナチュラルな色目を損なわないように白顔料の混じったオイルを塗って仕上げ、椅子は特に調和の取れたものになったと思います。新たな定番として探求していきたいアイテムになりました。

サクラのドロップリーフテーブル

夏本番です。
ステイホームでこの暑さはキツイ、と、スイカ割りで涼を取る午後。
衰えない食欲で楽しみを拾い集める毎日です。

折り畳み式でサイズ拡張ができるドロップリーフテーブルを制作させていただきました。

L1200→1500㎜、W800㎜、H700㎜。サクラ材。
普段折りたたまれている拡張部は引き出し状のアームによって支持されます。
拡張部の反り止めはハシバメを採用するなど、可動のことと、無垢板の伸縮の両方に気を配っています。

納品先のお宅に設置されたテーブル。
限られたスペースで、来客時にも対応できる解決例をいただけました。

栗の丸テーブル

 クリの丸テーブルを製作し、お届けしました。

 直径900㎜、高さ700㎜。丸脚の先端までの細り方、天板の縁の丸みなど、優しい雰囲気を出しつつも輪郭を残し、甘くなりすぎないよう心がけています。相変わらず美しいクリの天板。

 ご依頼主は開業間もなくより繰り返し家具をオーダーいただいている方で、今回の丸テーブルも部屋に置いた瞬間より馴染んだ様子を喜んでいただけました。住まい方と当方の家具との相性の良さを感じていただいているようで、そういった使い手の方と出会えることは嬉しいことです。

Re栗の大テーブル

 田植え後一か月経過した我が家の田んぼ。

 4年目にしてようやく効果的な除草ができるようになり、今のところ順調です。
 水面を浮草が覆いつくしていますが、浮草は有害な雑草の除草効果のある、無農薬栽培の味方だそうです。肥料、農薬が手に入りにくかった時代、自然も味方に付けてきたのが古き良き農業のやり方なのだなと思います。
 周りにいるコメづくりの先輩たちからは沢山の情報が伝わってきますが、田んぼの状態は千差万別で、他で通用してもそれが全てではないのを感じます。特に農薬などに頼らない場合はそれが顕著で、一つの田んぼに向き合って最良の選択を見つけていく作業はもはや喜びですらあります。まだまだトライ&エラーの連続ですが‥。

 さて、数年前に製作させていただいたのと同じ依頼主より、同じ大きさの栗の大テーブルをオーダーいただきました。

 L2300×W 1100×H750。
 天板を真ん中で分割し、スリットを設けています。今回も幅300ほどの材4枚で構成する贅沢な木取りです。

 天板と脚は、面取りの分、2ミリほどの段差。100㎜角の脚もそのボリューム感だけで存在感があります。角ばった形状のテーブルですが、ダイナミックな栗の木目が生命力を感じさせます。都会のオフィスでお使いいただくので、そこに集う人たちにも力を与えられえる存在になってくれればと願います。

ダイニングセット、キッチン建具納品

西京区の新築邸宅にダイニングセット、キッチン収納の建具を納めさせていただきました。

7802

7809

7812

7815

7818

7827

椅子の製作に当たっては、試作品で座り心地を確かめることはもちろん、
テーブルの高さも5ミリ単位で確認。
建具の籐の部分の大きさのバランスなど、
細部にわたってお客様と綿密にやり取りがなされ、ようやく形にすることができました。
最終的に座面高は標準の420㎜に対して天板高は675㎜とかなり低めですが、
食事の際には肩、肘が楽に動かせることを優先させた高さ設定となりました。
テーブル天板は2100×900㎜と、在庫していた特級ヤマザクラを最大限に生かせるサイズで、緩やかな杢が緻密に設計された室内で有機的な存在感を醸しています。
椅子、建具に配した籐もハンドクラフトの柔らかな存在感を感じさせていて、
無垢の木と妥協しない手仕事は、裏切らない結果を表してくれるものだなと感じます。

こちらのお宅には椅子残り4脚と座卓をオーダーいただいており、
そちらの製作を引き続き行っていきます。

ローバックアームチェアー、スツール、2本脚テーブル納品

ブログ更新が滞っている間に季節も春に。
娘二人が揃って進学し、非常に慌ただしい我が家です。
朝、思いがけない積雪があったりと三寒四温の京北ですが、
畔には土筆が顔を出していました。
そろそろ田んぼの準備もしなくちゃと…。

IMG_0567

少し前になりますがテーブルとチェアーを納品しました。

7697

2本脚のダイニングテーブルと、
曲げ木のローバックチェアー、スツールのセット。
設計事務所支給の天板は栗の一枚板。

7699

普段は幅を剥ぎ合わせて天板を作ることの方が多いですが、
これ程上質な材だと説得力というか、
カジュアルなデザインの中にも風格の感じられる仕上がりです。
今回は設計士の方の提案で、天板高を650㎜と低めに設定。
通常は700㎜ほどですので、5㎝マイナスの「低座生活」的高さ設定です。
椅子の高さについては施工大工の沖本さんと相談し、
通常座面高420㎜を2㎝マイナスの400㎜で製作。
使っていて椅子が高く感じられたら調整させてもらうことにしました。
施主さんは通常のテーブル高の暮らしをされていらっしゃったので、
変化を緩やかにする配慮です。
完成した椅子にかけてみると、テーブル高とのバランスは非常によく感じられ、
椅子単体で見ても、座面が低くて膝がより曲がるせいか、座面高420㎜の時に感じられたお尻が少し前に滑る感じが解消されていました。この感覚は個人の体型によって変わるのかも知れませんが、座面高や座面、背もたれの角度を設計するのに、とても有益なデータを一つ手に入れることができました。

来客用にとのことなので、普段はダイニングにはセットされないであろうスツールですが、せっかくなのでテーブル天板の形状と座面の形状を似せて作りました。山桜らしい褐色がいい経年変化をしていくことでしょう。

7695

住宅設計 : M’s建築設計事務所
施工 : 沖本雅章

テ-ブル、チェアー納品

関東まで脚を伸ばし、
ダイニングテーブルとチェアーのセットを納品させていただきました。

7582

天板サイズは1800×800㎜、
初夏に納品したテーブルと同じ山桜材。
綺麗な杢が存在感を発揮しています。

7578

合わせるのは三種の椅子たち。
まずお馴染みスピンドルチェアー。

7595

座面、背もたれはクルミ、脚はカエデの組み合わせです。

そして、リニューアルしたスタンダードチェアー。

7603

7613

座面に生成りと黒のペーパーコードを張り分け、
それぞれクルミ、クリ材を使用しました。
今回はお客様のご希望で、背もたれにもバリエーションを持たせ、
結果的に3脚が別々のデザインになりました。
もともともう少し直線的な椅子を作っていましたが、
後ろ脚に緩やかな曲線を取り入れ、柔らかい印象にしています。
この部分を子カンナで仕上げるのは楽しい作業です。

IMG_0320

このタイプの椅子は座面の展開が出来ますので、
布、革張りも含めて、ご相談ください。

7615

栗のベンチ、テーブル

猛暑の夏、台風の九月、北海道の地震。
自然に翻弄されながらも、日々の営みを取り戻そうともがく毎日。
皆さまの暮らしがどうか平穏でありますように。

京都、東山に新築されるゲストハウスにお納めする家具を作らせていただきました。
建物の1,2階を宿泊用に、
3階屋上をお茶席などに使用する空間に使用されるとの事で、
その両方の用途に沿ったアイテムをクリ材で製作しました。
まず、屋上用のベンチとテーブルです。

7452

7454

脚に近郊で入手した栗の生木を使用。
ドローナイフで八角を荒々しく削り出し、
貫に黒皮丸棒をあしらい、まとめ上げました。
脚の太さ、転びの角度、座面の面取りによる見え方の違いなど、
かわいくなりすぎず、デザイン的になりすぎない仕上がりになるよう、
試行錯誤を重ねました。

栗は程よい柔らかさで、グリーンウッドワークの工法に向く材だと思います。
田舎では稲を収穫した後に干す「稲木」に使用されたり、
水に強いのでもちろん建築にも使われたりと、
昔から生活と深く結び付いた材でもあり、
クリ材を見つめることは、生活道具の成り立ちに思いを馳せることに繋がり、
とても面白い作業です。
自分の手でも、今後永く使われる生活道具が一つでも多く作れたら、
と思います。

ベンチと合わせて使用するテーブルは高さ2段階可変式の2wayテーブル。

7432

7433

7430

7431

脚の構造をギリギリまで減らし、目を引く形状に。
天板は外丸カンナを自作し、
触れると分かる程度のテクスチャーを付けました。
使用感が出れば更に風合いが増すはず。

幸か不幸か、
災害に見舞われながら仕事をしたことは、
普段、流れで終えてしまう可能性のある仕事にも、
ありがたみを感じながら深く向き合うことにもなったようで、
自分の中に新しい機軸を見いだせた思いです。

IMG_0207

山桜のテーブル

大雨の去った京北。
一時は桂川の氾濫も危ぶまれるほどでしたが、
幸いもしもの事態は起こらずに済みました。
消防の詰め所に待機している間も、
テレビの気象図には次から次へと湧いてくる雨雲が映し出され、
途方もない感覚を覚えました。
大雨、地震、何十年に一度の非常事態が毎年のように起こるこのごろ。
自然は雄大であり、容赦ないものだと感じます。
皆さんのお住いのあたりが無事であることを願います。

IMG_0073

さて、
昨日納品させていただいたテーブルです。

7282

山桜材での仕事が続いております。
特に今回使用したのは岐阜県産の特級材で、
色といい、杢といい、幅といい、申し分ない上物です。
飛騨にある材料屋まで脚を運んで入手しましたが、
そこの社長も、これだけ綺麗な桜はいつでも手に入るものではない、
と話しておられました。
電話一本の発注に済ませずに、
材の表情を見るために材料屋になるべく脚を運ぶことが
こういうよい材との出会いに繋がるのかな、と思っています。

7285

7286

 7287

天板の隅には完成日などをお客様のご希望で刻印しました。

7288

この材はまだ在庫がありますので、
ご興味おありの方はお早めに!

トチのダイニングテーブル

先日納品したトチのテーブル。

7139

7137

7141

いつもより分厚く、暑さ3センチに仕上げた天板が、
脚の太さと相まって、武骨な全体のデザインに調和を与えています。
最近気に入ってよく取り入れる幕板の納まり。
脚を貫通した幕板は蟻残加工によって反り止めの役割を担い、
脚の中で縦横の幕板がホゾ加工により組み合うことで、
少ない部材数で頑強な構造を作り出しています。

トチという材はあまり積極的に取り入れて来ませんでしたが、
自分の作風には合っている材だな、と思いました。
端正でいて木の生命力を感じられる表情でもあり、加工性も良く、
特にテーブルに使いたい材です。

7132

納品時にはお客様のご期待にも応えられた様子で、
また一つ気持ちの良い仕事をさせて頂きました。

IMG_1137