山桜の箪笥

3月より段階的に製作を進めてきた山桜の箪笥が完成しました。

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w850×h800×d430の2台の箪笥を並べて使う想定で製作。
本体に山桜、引出しの内部はシナ無垢、裏板も含め、総無垢仕様です。
将来の配置換えも想定し、背面に至るまで見栄えに気を配った作りにしました。

引き出しの継ぎ手は包み蟻継ぎ。
加工自体も精度が求められますが、
加工中にも少しの温湿度変化で材はどんどん反り、動くので、
各材の動きを予測した配材が求められ、
合計箪笥8杯分の大量の材との対話を楽しみました。

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納品先は遠く鎌倉。
足を延ばして納品させていただきました。
杉材のふんだんに使用された室内で、
褐色に変化していく山桜の箪笥が時を経るごとに存在感を増すことと思います。

low-back arm chair

きょうと椅子に出品した新作椅子、
「ローバックアームチェアー」

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山桜を主材に、スピンドルはいつも通りトネリコを使用。
ただし今回は一番細い部分で直径8ミリ。
細くしならせた合計12本のスピンドルが総持ちで構造を成します。
昨年製作したハイバックタイプをより取り回しのよい形状にブラッシュアップ。
形状、工法にいくつかの改良を加え、完成度が上がったと思います。

ダイニングで、座りやすいようにアームは短めに設計しましたが、
展示中は、もう少し長いほうが、との声もあり、
その辺は好みの分かれる所かと思います。
ただ、アームが短い分コンパクトな見た目になり、
軽快な印象になっている利点はあります。

今回同時にナラでも製作。
自宅で使用し、使用感を経たものを展示する機会があっても面白いな、
と思っています。

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トチのダイニングテーブル

先日納品したトチのテーブル。

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いつもより分厚く、暑さ3センチに仕上げた天板が、
脚の太さと相まって、武骨な全体のデザインに調和を与えています。
最近気に入ってよく取り入れる幕板の納まり。
脚を貫通した幕板は蟻残加工によって反り止めの役割を担い、
脚の中で縦横の幕板がホゾ加工により組み合うことで、
少ない部材数で頑強な構造を作り出しています。

トチという材はあまり積極的に取り入れて来ませんでしたが、
自分の作風には合っている材だな、と思いました。
端正でいて木の生命力を感じられる表情でもあり、加工性も良く、
特にテーブルに使いたい材です。

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納品時にはお客様のご期待にも応えられた様子で、
また一つ気持ちの良い仕事をさせて頂きました。

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ダイニング一式納品

更新をしばらく怠っておりましたが、
あれこれ忙しくすごしておりました。
季節は移り変わりはや10月も後半。
今年初挑戦の我が家の田でも稲穂がこうべを垂れ、
28日の稲刈りを待つばかりです。

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初挑戦にあたり、農薬などに頼らず、手植え手刈りの昔ながらに近い農法を試しています。
見よう見まねなので結局雑草は生え放題で思うように行かないこともあり、
手間がものすごくかかってしまいましたが、その手間も収穫後に「オラが米」を食することで報われると願っております。

新築のお宅に、ダイニング一式を納めさせていただきました。

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持込のブビンガの2000×950㎜の天板にナラで脚を製作、
定番のスピンドルチェアー、オーダーメイドのベンチもそれぞれナラで製作しました。

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うちで作業台として使っているテーブルの脚と同形状で、
70角のしっかりした脚、ナラ材の適度にダイナミックな表情が、
重厚なブビンガの天板を引き立て、支えます。

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2017年モデルのスピンドルチェアー。
前脚を少し手前に収めるなどのマイナーチェンジを加えました。
これまでセン、クリ、クルミで座面を作ってきましたが、
やはりナラは「間違いない」表情の良さがあると感じます。

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そして特注の長さ1800のベンチ。
ナラのフレームに、アクリルテープを巻いています。
これだけ長いと、テープをたわませずに編めるかが懸案でしたが、
構造を試行錯誤し、座り心地の良いベンチに仕上げることができました。
アクセントの通しホゾ。

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とりわけベンチをお施主さんにはお気に入りいただき、
試行錯誤の甲斐がありました。

この仕事を繋いでくれた大工の沖本さん、ありがとうございます。
彼は非常に良い仕事をする大工で、
今後も彼と何か一緒にやれるのが楽しみです。

continuous arm chair

4月に形となったアームチェアー。
HP上ではご紹介ができていませんでしたが、
少し改良を加えたものを作らせていただいたので、併せてご紹介します。

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曲げ木を最大限生かして、軽快な印象を演出。
実際軽い椅子です。
「continuous(連続曲線) arm chair」という名で、
アメリカンウインザーチェアーの中には作例が挙がる工法です。
思い通りの曲率に木を曲げるには試行錯誤が繰り返されましたが、
京北産のサクラの生木が使えたことは大きな助けとなっています。
曲げ木部分はサクラ、スピンドルはトネリコ、座面は栗と、
木の特性を見極めて適材適所の配材です。

4月の第一作目は背もたれの傾斜をきつくして、
ゆっくりともたれられる安楽椅子により近い椅子でしたが、
お客様の要望で傾斜をゆるく、
食卓椅子に近いもたれ感にアレンジし、ある意味汎用性のより高い椅子になったと思います。
下の画像は左が一作目、右が再製作分。

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長い間温めていたイメージを一旦カタチにすることができて、
一定の満足感はありますが、
材料選びや細部の形状を見つめ直しながら、
より自分の椅子として育てていける題材を得た気もしています。

栗の大テーブル

あちこちの田に水がはられ、朝晩カエルの合唱が響きます。
今年は私達も稲作に初挑戦しています。

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やるからには、と手植えにチャレンジ。
入れ替わり立ち代りの延べ10人ほどの参加で、一日でなんとか植えきりました。
田植え機では2時間もあれば済む作業ですが、
泥に素足を突っ込んで一本づつ稲の赤ちゃんを大地に植えつけて行く感覚は、
機械に任せてしまうにはもったいなく感じます。

植え付けがうまくいき、穂が出るまで水加減の調整と除草の日々です。

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さて、先月納品した栗の大テーブル。

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2300×1100×750サイズで2台分。
分解できる構造にして、軽バンで東京まで納品しました。
2台あわせるとかなり広大な作業面になりますが、
納品先のオフィスは広々空間で、組み立てても圧迫感は感じられませんでした。
10センチ角のガッシリした脚も、この空間の中では妥当な太さに見えます。

プランニングの中で、質実剛健でソリッドなイメージを求められ、
天板のと脚の端を合わせることで、凹凸の少ない形状にしました。
真ん中にスリットを設け、そこで天板の伸縮を逃がす構造です。
天板用の材も約300幅で長さ2300の板が合計8枚分と、貴重なものです。

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椅子はあえて元々お使いのオフィス用のキャスター付きのもので。
近代的な空間に自然素材の存在感を際立たせる今回のテーマの下では、
この取り合わせも悪くないと感じます。
テーブルだけが経年変化でどんどんかっこよく育っていくのでしょう。

ヒノキの本棚

京北にも遅めの桜の季節がやってきました。

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見ごろは明日明後日ごろ。
京北の桜の名所としては常照光寺の枝垂桜がありますが、
そちらはの見ごろもう少し後になります。
春が来て、田植えの準備などみんないそいそと忙しく、
田舎も賑やかな季節です。

ヒノキの本棚を製作しました。

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修行時代の先輩、KLOSS小田さんによる質実剛健なデザイン。
今回はコスト面から採用になったヒノキですが、
ノックダウン構造にも耐える強度があり、
仕上がりを見ても、正解の選択だった気がします。
いつもヒノキを仕入れている近所の材木屋さんの話では、
ヒノキの場合ある程度節があるほうがすっきりし過ぎず味のあるものができるので、
そんな丸太を製材しているとのこと。
その話のとおりの仕上がりになったなと思います。

続いて18日からのグループ展用の椅子を製作中。
数年来の目標だったアームチェアーに挑戦。
ギリギリです。。

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親から子へ

このところ2件、
お子様への贈り物としての椅子の注文を続けていただきました。

まず学習イス。

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トネリコ材、座面はペーパーコード。
今年1年生になる娘さんへのお祝いとして。
勉強は学習机でなく、ダイニングでするそうです。
うちも同じです。

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組角度はすべて直角にして作業コストは抑えましたが、
背もたれのアールとペーパーコードの座面で、
大人でもしっくりとくる座り心地です。
トネリコの白さでフレッシュな椅子に仕上がりました。

次はお子さんのお誕生祝いに子供イスを。

子供椅子1

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昨年製作したものと同じ、アーム付きバージョン。
左が昨年製で、右が生まれたて。
半年ほどで結構飴色に変化して来てます。

昨年末にも誕生祝いのテーブルを作らせてもらったし、
お子さまを思う親御さんの気持ちに包まれ、
私もあったか気分で仕事させてもらっている今日この頃です。

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2015年 大晦日

今年も気づけば大晦日。
いつまでもゆるい寒さのせいで、
体が暦についていけてない感じがします。
おもての梅の木にも花がついてました。
完全に咲く時期間違えてしまってますが、
春にもう一度咲くパワーのこるんだろうか。

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子供さんのクリスマスプレゼントに、
お絵かきテーブルを作らせてもらいました。

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うちのブログに載っていたサイドテーブルのデザインをもとに、
細かなご希望を織り込みながら完成させました。
木部は栗、棚部分は籐編みです。
今年やった試みを少しずつ取り入れたような作品で、
一年を振り返りながらの仕事をさせてもらいました。
そして年末は、
来年6日よりの出店に向けての製作で締めくくりです。

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定番の曲げ盆、オーバルボックスに加え、
新たに折りたたみスツール、テーブルに取り組んでいます。
年明け早々のスケジュール、予想以上にハードです・・。

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梅田阪急9階祝祭広場にて、
1月6日〜11日まで。
6日と11日には妻と交代で在廊します。
是非お出かけください。
上記イベントのほかにも、
楽しげな新年を迎えられそうな案件が数件ありで、
まいてきた種が芽を出す年になる予感。
楽しみです。
皆さま、よいお年を。

パッチワークのカウンター

9月に水面下(?)で関わらせていただいた、
カウンターのお仕事。
お店がオープンになったのでご紹介します。

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日本茶を出されるお店の喫茶用カウンターとして、
支給の板5枚をパッチワークのようにつぎはぎして一枚に見立てました。
元は椀木地用のトチの4寸板を製材所でスライスするところから開始。
板の配置に付いてはお客様と綿密に相談し、
接合方法にも細心の配慮をしました。
現場での組み立て風景がこちら。

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仕上がり長さ4メートル、幅80センチ、7センチの板は重すぎて一体では輸送不可のため、
工房で組み立て準備の仕込をして、
組み立ては現場で行いました。
ずれ止めの「サネ」を入れ、
工房での予行演習に沿って一枚ずつ組んできます。
組みあがった板の境目を縫うように、
アサダのチギリをはめ込んでいきました。

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現場に据え付いたカウンターは、
木の存在感を存分に放っています。
それでいて、端正なトチの木肌、手触りの良さ、チギリのアクセントなど、
柔らかな印象も受ける、面白いものになったと思います。
仕上がりにご満足いただいた上で「大変だったでしょう」と声を掛けられましたが、
大掛かりな作業ではあったけど、
お客様のイメージを形にするために段取りを組み、
それをひとつずつクリアーしてゴールに向かっていく作業は、
この仕事の喜びを真に感じさせてくれるものでした。

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こちらのお仕事では、
靴を脱いで上がるための踏み台も作らせていただきました。

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カウンターに使った板を製材して余った材を使用。
タイルの色にトチの白が映えます。
日本茶のカウンタースペースと、
漆の器などを扱うギャラリースペース、
紹介制の宿泊スペースもある、面白いお店です。
古く貴重な建物を使い継いで、
人をつなぐ場にしていきたいとの店主さんの思いにも共感するところ多く、
大切な場所が一つ増えたことが嬉しい仕事でした。
「日日」 「冬夏」
京都市上京区信富町298
075-254-7533

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