教会のベンチ

2月も中旬になり、
朝窓の外に広がる雪景色は今シーズン何度目でしょうか。

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雪かきするほどの量でもなく、
日中の日差しでその日のうちに溶けてしまうので、
生活にまったく支障はありませんが、
よく降るシーズンではあります。
製作にかかっていた教会のベンチを納品したので、
その画像を。

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礼拝に使われる3人掛けのベンチで、
ご依頼いただいた教会に置かれていたものを複製しました。
ただ、元のベンチはもたれなどはフラッシュ構造だったので、
今回はやりなれている無垢の構造に変更させてもらいました。
同じ木工でもやり方や使う道具、接着剤は違うものだし、
今回の場合は無垢のほうがむしろ頑丈に作れると判断しました。
教会の方にその点を最初にご理解いただけ、
製作させてもらうことができました。
背面には礼拝用に台が付いています、
アンティークの仕事をしていたときも、
チャーチチェアーの後ろには、
聖書を入れるポケットや、
膝を付くためのクッションが付いているものがあったのを思い出しました。

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曲線や装飾を排した実用的な構造ですが、
かけ心地や使い勝手などには細かい配慮が感じられるベンチで、
学ぶところの多い仕事でした。
さて次はテーブルの製作。
ミニチュアでバランスの確認作業中です。

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面白い形のテーブルになりそうです。

年末の仕事

ブログの更新をサボっている間に、
季節は秋から冬の只中に。
秋のうちにギャラリースペースでの生活はピリオドが打たれ、
新しい階上の住居では、ダルマストーブがフル稼働中です。
もっと大型のストーブを入れるまでの繋ぎに、と思っての導入でしたが、
今のとこ十分に暖が取れ、
薪が入れにくい難点を除けば、安価だが結構使える代物です。
部屋の壁、床下、天井裏に十分に断熱材を仕込んだこともあって、
外壁の板金一枚のみのがらんどう空間の一階比べると、
部屋の温まり方は雲泥の差です。
薪ストーブを生かすには、
本体、煙突、部屋の断熱のバランスが大事なんですね。

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今日までに納めた事例を二つ。
くるみのスピンドルチェアー。

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能登でのイベントにて知り合った方からのご依頼。
うれしいご縁でした。
サクラの円弧テーブル。

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こちらは京都市内のお客様。
最初は丸テーブルを検討されていましたが、
同じ外径でも、より天板のスペースがとれて、
且つやさしい印象になる円弧の形に決定。
全体のイメージをまとめるまで、かなり多くのやり取りがありましたが、
そのかいあって、仕上がりには大変喜んで頂けました。
年末のこの2つの仕事では、
大手メーカー家具や、北欧デザイン家具、
果ては安価な外国産家具まで、
膨大な家具選びの選択枠のある昨今、
個人家具工房として、何ができるのか、
ということを意識しながら取り組みました。
具体的には、
製作に入るまでのプレゼン、製作中も工程を2度ほど画像とともにお知らせしました。
まず当方の作る家具、家具作りへの姿勢、
ポリシーみたいなものを知っていただき、
仕事になれば、お客様の希望に耳を傾け、
お客様の空間作りの物語に付け加えられるようなものを提供する。
そういうことをやっていけるのが、
小回りの利く個人家具工房のメリットだと思うし、
またそれが自分の喜びでもあります。
ただの製作にとどまらず、
そういうことをいくつ積み重ねていけるかが、
今後の仕事の価値だと感じます。
そのためには、もうちょっとこまめなブログ更新もせねば、と反省もしつつ、
来年もがんばって参ります。
みなさま、良いお年を。

「Learn to Shaker」終了

落ち葉舞い散る秋。
ヤギたちは喜んで落ち葉をほおばります。

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このあと冬が来て落ち葉が完全に落ちきると、
ヤギにとって外には食べるものがない季節。
新芽の生えてくる4月まで、
ひたすら乾草を与えられることになります。
それでも食欲は満たされますが、
ヤギとていろいろと選り好みしながらの食事が楽しいようで、
冬が来るまでの晩餐を繰り広げる日々です。
先日、
「Learn to Shaker」が終了しました。
前のブログでは紹介できてなかった僕の出品作品。

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ビューローです。
材は希少なアサダ材。
シェーカーの家具の写真で、ライティンクビューローは見かけますが、
今回は鏡を内蔵し、ドレッシングビューローと想定して製作しました。
パタンと扉を閉めれば、雑多なものを手軽にしまってしまえるのがこの構造の利点。
今の時代、パソコン用になど、いろいろ使い道はありそうです。

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本体組み立ての仕口はアリ組みとしました。
シェーカー家具は、
僕が家具の製作に興味を持つきっかけになったスタイルですが、
今、家具工房として独立して一定期間がたち、
再びそれと向き合って思うことは、
シェーカー家具は作り手としての自分の写し鏡だ、ということです。
使う機能から離れた形優先のものづくりになっていないか。
丁寧な仕事を忘れていないか。
そういうことを語りかけます。

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さあ、
楽しい宴の期間も終わりました。
これからまた、それぞれ自分のものづくりと向き合う日々。
楽しんでいきましょう!

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イベント告知、キッチン完成

今年の秋はクラフト出店します。
まずは近場でけいほくクラフト。

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開催は10月4,5日ですが、
4日土曜日のみの出店です。
もう一つは石川県能登島の、のとじま手まつり。

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こちらは10月18,19日両日とも出店。
どちらも3年前に出店させてもらっています。
イベント出店はもちろん売上も気になるところですが、
僕としては、場を楽しみたい気持ちの方が強く、
肩の力を抜いて、お客さんとのコミュニケーションを楽しもうと思います。

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数日前には、製作に一ヶ月を要したキッチンが完成。

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えらく工期がかかってしまいましたが、
その分のボリューム感はあります。
総W2900×D650×H900。
収納には工夫を盛り込んでみましたが、
使い勝手は追ってご紹介することにして、
まずは妻に料理を楽しんでもらおうと思います。

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栗スツール、そしてキッチン

朝晩涼しくなり、
幾分過ごしやすく感じられるこの頃。
あたりの稲穂はこうべを垂れ、
稲刈りの終わった田も増えてきました。
いつもお米を頂いている近所の稲作家の方からは、
前日刈りたての新米が届き、
産地に暮らす贅沢を味わいました。
少し前に納品したスツールです。

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栗材にて。
奇をてらわず、
使いやすさと向き合ったカタチ。
スツールは色々と試行錯誤してきましたが、
今回は特に素直に出せた形だと、満足しています。
納品後、お客さんから送られてきた画像。

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言葉より、気持ちの伝わる写真だと思います。
そして、
ようやく取り掛かれた自宅用キッチン。

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幅2900を2分割で製作。
椅子作りも楽しいけど、
大物も楽しい!
来週中には完成です。

晩夏

お見舞いする残暑もない今年の夏。
朝晴れ渡っていても、気づけば雨雲がたちこめます。
近くの茅葺屋根の民家で、茅の葺き替えをしていました。

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近年は材料になる茅の確保も大変だと聞きます。
数十年に一度の大掛かりな作業で、費用もかさみ、
うちのまわりにある日本家屋は、大方トタン屋根に葺き変えてあります。
そんな中でもこうやって、茅を葺き替えながら、
大切に家を住み継いでいる様子を垣間見ると、
人間と住まいとの結びつきの強さを感じます。
この夏の水害で、消防団として現場に出ることもありましたが、
押し寄せる水になすすべもなく、
呆然とする人、怒りを他にぶつけようとする人、あきらめ模様の人、
様々な人の表情がありました。
しかし、だからといって、
浸水が起こりやすい土地だからといって、
移住はできない、しない。
土地や家との結びつきの強い田舎であるだけに、難しい問題です。
この夏の水害で被害にあわれた方々、
そして現在もその最中にある方々の生活が一日も早く平穏に戻ることを願うばかりです。
不安定な天気で、気の落ち着かない8月でしたが、
良い仕事が一つできたのでご紹介を。

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オーバルのローテーブル。
材はお客様支給。
マホガニーでしょうか?
オイル塗装で、燃えるような杢が現れました。

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元は日本風な座卓だったこの材をお預かりして、
このようにリメイクしました。
材の存在感と、このオーバルの形状がマッチして、
よいものになったと思います。
オーバル加工の方法を身につけたので、
これからどんどん取り入れて行きたいです。

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カウンター収納納品

梅雨の只中、
勢力全開の雑草に負けじと葉を広げていたジャガイモを、
意を決して抜いてみると・・。

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小さいのから中くらいのまで、
ころころとジャガが出てきました。
上から見てても出来が不安でしたが、
土の中ではしっかり育ってたんだな。
さて、大阪のマンションリフォーム案件、大詰めの仕事。
長さ3500のカウンター収納です。

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スペースの半分は、扉内部に引き出しを。
和箪笥のようなこの構成は、お客様のご希望でした。
収納力十分です。

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完成まで長らくお待たせしましたが、
ようやくお納めすることができ、
飾られた画も映える空間となりました。

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ダイニングセット、TVボードに続いて今回の大きな箱物収納。
いろいろなタイプの家具を作らせて頂き、
とてもよい経験になりました。
最初は合板製の家具をご検討されていましたが、
悩まれた末、無垢の家具に決められたお客様。
これから時間と共に風合いを増していく家具を見て、
この決断でよかったと、きっと感じていただけると思います。

SBチェアー

新作チェアーが完成。

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後ろ脚から滑らかに繋がる背もたれが特徴。
「Smooth Back」を略してSBチェアーと名付けました。

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今回張ってもらったのは本皮。
ペーパーコード、籐編みなどとの相性も今後試していきたいところ。
上の画像の材質は栗。
ウォールナットでも同時製作しました。

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「シンプルでいて有機的」というテーマを体現するかたち。
背中で何かを語れているでしょうか。

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小さな手は物語る

 無垢の家具に囲まれて暮らし始めて数年。
無垢の家具の良さは使ってみないとわからない、と使い続けて数年が経ち、
日々心地よくこの家具達と暮らしていました。
薬剤や、接着剤の害がないという以外では、
何といっても手触りが良いのが無垢の家具の良いところでありますが、
それを我が家の5ヶ月の娘が証明してくれました。
 
食事の度、おむつがえの度、手持ち無沙汰にならないようにタオルやおもちゃを渡しても、
気が付けばそれらを放り出し、家具の脚や、スピンドルを触っています。
まだ手の動きがおぼつかなくて、おもちゃも上手く操れない小さい手が、
すべすべの木肌をずっと触っているのを見て、改めて無垢の家具の良さに気付かされました。
 
余談ですが、家族の食事時間、まだおかゆを少ししかもらえない娘は、ダイニングテーブルにしゃぶりついています。ほぼ毎食。不憫ですが、テーブルも気に入ってもらえたようで少し嬉しくもありました。(母)

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スピンドルチェアー完成

スピンドルチェアーVer.2014完成。

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細く華奢に見えるスピンドルの先端部分は直径9㎜。
8本をしならせながら組むことで、
総持ちの強度を作り出します。

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座面、笠木の形状など、
今までアレンジし続けてきましたが、
この形で一旦自分の中で完成した気がして、
売れた分、在庫も含めて8脚作りました。
在庫2脚あります。
このあとも別の椅子製作がまだ続く・・。
椅子三昧だ。