生木の木工

今週末6、7日、近隣で行われる野外イベント「ツクル森」内で、椅子づくりのワークショップをします。
ヒノキの未乾燥の間伐材を材料に、機械に頼らず手道具を駆使する「グリーンウッドワーク」のスタイル。



工房の普段のものづくりでは大型の木工機械や手持ちの電動工具を駆使して効率的で均質な仕事できる体勢を取っていますが、グリーンウッドワークはある意味それとは対象的で、古典的な手法です。
かつての欧米での椅子づくりは、職人が道具を背負って山に入り、借り倒した木をその場で造作して脚に加工し、座面の加工、組み立ては流通に便利な街中で行う分業体制が主流でした。
今日では木工と言えば、狂いが少ないようによく乾燥した材を使うのが基本ですので、生木で椅子を作るのは現代のセオリーに反しているようにも見えます。
ですが、乾燥の過程で材にどのような変化が起こるのかを予測しなければならなかったり、手加工での作業の中で、どこでどの方向に刃物を入れれば効率的に加工できるのかを見極めなければならな かったりと、木そのものにより精通する必要がある点で現代の木工にも大いに役立つ点が多いのです。僕自身、特に椅子づくりに関してはグリーンウッドワークを知る前と後では考え方と手法に大きな変化がありました。
グリーンウッドワークのワークショップで、生木を体を使って加工していく過程はまあまあの重労働ではありますが、生木特有の新鮮な香りを感じながらのせいもあってか爽快感を感じられるものです。森とのつながりも感じられる体験でもあるので、京北で行うにはぴったりだと思います。

既にアウトドアファンの間では多くの人に知られるグリーンウッドワークですが、もっと日本の隅々まで広がって、森と人との距離が近くなればいいなと思います。