第三回きょうと椅子

4月2日~4日、第三回を迎えたきょうと椅子、無事開催されました。

今回の舞台は三条通りに面した京都文化博物館。元日本銀行の洋館ホールに38脚の椅子が並びました。
毎回ながら他の作家さんの力作に気おされながらも何とか自分の創作を模索し、発表することに必死になりますが、もっともそう感じているのは僕だけではないようで、切磋琢磨できる貴重なフィールドです。
来場の方々はそういった作家の必死な裏事情はさておいて、思い思いに展示を楽しんで頂けたようで、実行委員として携わった身としては非常にやりがいを感じることが出来ました。
今回会場を撮影いただいたカメラマンさんの画像でその様子を紹介します。

そして当方の今回出品の椅子です。「yama-chair」と名付けました。

近郊産コナラを主材に、今回は座面に鹿皮を用いました。
背もたれ、笠木は曲げ木で形作ることで有機的な曲線を形作り、強度も併せ持ちます。曲げ木はしばしば型通りに曲がらず不確かな形状になる技法ですが、毎回型通りの削り出し加工よりも僕の好む「揺らぎ」を表すことが出来ると感じています。
そして鹿皮ですが、当地京北で害獣駆除の目的で捕れる鹿の皮を利用できないかと考えたのが着想でしたが、椅子の座面ほどの面積を鹿の体長から取ろうとするとよほどの大鹿でないと難しいということが分かり、今回はより寒い地域の体長の大きな鹿の皮を使いました。牛皮と違ったしなやかな質感が魅力です。地域の鹿皮については座面のより小さなスツールでの活用が現実的と思われます。
作り手がものづくりの材料をどこでどう調達するかはそれぞれの立地、考え方でそれぞれの選択がされているのだと思います。地域の材を使う、ということがいつでも最良である、とは僕も考えませんが、自分としては地域に根付き、地域の暮らしや自然に繋がった素材に興味があるし、その中に美しさを見出せるならそれを使ってものづくりしていきたいと考えます。地域に、山に目を向けて、向き合ってものづくりしていく。「yama-chair」というタイトルにはそういったテーマを込め、これからも色んな形で表現していきたいと思います。

冬ごもりのパーティー

山の家具工房がお送りする秋のイベント。
今回は12月に開催することもあり、冬支度のイメージです。
題して、
「冬ごもりのパーティー」。

sample_naka

陶芸の芦田直美さん、
ホームスパンの竹村優利佳さん、
数字にまつわるお菓子や雑貨を作っているすうじやさん、
参加していただける皆さん、
「冬ごもり」のイメージのこのイベントに、
是非とも参加してもらいたかった、
暖かみを感じる作品を作られている方たちです。

我が工房も、カッティングボードなど、
冬の暮らしに豊かさを与えられるようなアイテムを用意しています。
ギャラリーを薪ストーブで暖かくしてお待ちしております。
是非お越しください。

12月1日㈯、2日㈰ 10時~17時(2日は16時まで)
京都市京北 山の家具工房ギャラリーにて

「本とそのまわり」

2日間の日程を終えた「本とそのまわり」

高橋麻帆さんの古書、版画を中心に、
活版印刷、木工、陶芸などが重なり、響きあう独自空間。

IMG_0013

IMG_20180526_210939_062

DSC_0212

DSC_0220

IMG_0008

IMG_20180527_230044_871

「本」という核となるテーマのおかげで、
バラバラなようで親和性のある、
見どころの多い展示になったと思います。
今回限りにするには惜しい組み合わせですので、
また呼び掛けて類似企画を開催したいところ。
何はともあれ素晴らしく、心強い仲間をまた得ることができたことに感謝です。

お越しいただいた方々、ありがとうございました。

「本と、そのまわり」開催します。

来る5月26日、27日に山の家具工房で行うイベントのお知らせです。

「本と、そのまわり」

本と
本と裏

京北出身、現在は金沢にお住いで、
古書店をを商っておられる髙橋麻帆さんとのつながりから着想したイベント。
学生時代はドイツ文学を専攻され、東京は神保町で古書店修行を積まれた麻帆さんのお持ちの古書は、
いわゆる「古本」のジャンルに留まらず、
ドイツなどヨーロッパの百年以上前の古書、植物画の活版印刷の図録など、
厳選され、かつ幅の広いものです。
このイベントでは、麻帆さんの古書、版画の他、本にまつわる作品の展示や、活版印刷のワークショップも開催し、
古書の魅力に触れていただく機会になれば、との思いを持っています。

IMG_1252

今日は活版印刷のワークショップをご担当の山口和佳さんとの打ち合わせでした。
持ち運びできる活版印刷の機械を持ち込んで、
名刺サイズなどの紙にご希望の言葉をレイアウト、印刷できる体験を計画。
厚紙に印刷の圧力で印刷された文字の立体感は、
活版印刷ならではの質感で、是非多くの方に体験していただきたいです。

IMG_1257

山の家具工房も、文鎮、ブックエンド、筆箱を用意して、
皆さんのお越しをお待ちします。
我々にも新しい世界の広がりそうなこのイベント。
是非お越しください!

きょうと椅子2018

「きょうと椅子」が2週間の会期を終えました。
総来場者約700人、活況な会場の様子。

_MG_7216

7219

7221

荘厳な雰囲気の会場に碁盤の目のように作品を展示し、
各作品の周辺で椅子談議に花が咲きます。
来場者と作家、作家同士、また来場者同士。
繋がりと繋がりが広がっていく、合同展の醍醐味です。

作家それぞれが目指す方向の違い、或いは形こそ違っても持つ雰囲気の類似などが感じられたり、
改めて椅子は作家自身を表す格好の題材だと感じます。
ウインザーチェアーという普遍的な題材をモチーフにした自身の作品も、
フォーカスするポイント、工法の工夫などから、
他の作品に埋もれてしまわない存在感は出せていたかな、とだけ思いました。

7215

会期を通じて色んな体験をし、
大きなパワーを得ることが出来ました。
会期、場所など未定ながら、次回も開催の予定です。
更に進化する「きょうと椅子」に乞うご期待です!

きょうと椅子2018に参加します

4月に参加する椅子展のご案内です。

7093

詳細はトップページ、
またはきょうと椅子のHPに掲載があります。
https://kyoutoisu.wixsite.com/2018

前年まで左京区「みつはし」さんで行われていた椅子展でしたが、
「みつはし」さんが惜しまれつつ閉廊となり、
今回は舞台を京都の繁華街にある老舗ギャラリー「マロニエ」さんに移し、
参加者も24人とスケールアップしての開催となります。
今回の「きょうと椅子」に際しては事務局長という立場で関わらせていただいております。

家具作りの師匠である宇納正幸氏が10年間「みつはし」で続けてきた木工作品の展示。
その歩みを絶やすことなく、発展させた形で継続させるにはどのような表現が必要か。
逡巡し、開催に寄せる文章として思いをつづりました。

 「私達木工家は、作品である木工品を誰かに使っていただく事で世界と繋がっています。製図の際に引く一本の線、息を止めて削るカンナの一削り。完成度に妥協しないのは、作品の先に使い手の顔があるから。作り手が魂を込めて作った椅子を、使い手が次世代まで使い継いでいく。それは一つの豊かな「文化」だと思います。「きょうと椅子」は京都内外で活動する24組の木工家による、木の椅子の展覧会です。文化ひしめく京都の地で、「椅子」の文化も発展させたい。そんな思いでタイトルを「きょうと椅子」としました。 「京と椅子」、「今日と椅子」。今日を生きる皆様に、一脚の椅子との出会いから感性豊かな暮らしが拡がることを願って。」(きょうと椅子HPより)

木工の仕事を続けていく中で、世間との結びつき方について考える機会がよくあります。
自分が熱烈に興味を持った、木という素材を使ったものづくり。持てるものを掛けて仕上げた作品を販売していく=世の中に広めていく=共感できる仲間を見つける、増やしていく→こうなったらいいなと思える理想の社会に繋がる、文化が生まれる。
小さな営みの積み重ねですが、とどのつまりはここに繋がるのだと感じます。
訪れた方に座っていただける、作り手の顔が浮かぶ、こんな椅子と暮らせたら幸せだろうな、と思える一脚に出会える。ひとつひとつのテーマに向き合い、事務局一同真剣に取り組んでいます。
僕たちにしかできない表現で、皆さんとつながる展示にしたいと思います。

肝心の出展作品は、アームチェアーのサイズ変更バージョンを準備中。

IMG_1117

曲木は済ませ、あとは展示までギリギリの製作になります!

家守の木

5月の連休から開催してきた、絵本「家守の木」に関連するイベント。

「家守の木」は、京北の杉が人間の家の材になることを夢見るなかで悩みにぶつかりますが、
大きな杉の「おぬしさま」の啓示によって、夢を捨てずに生きていこうとするお話。

連休中のよみきかせ&コンサート

CAWSY9O4

引き続き開催中の原画展

DSC_0942

加えて肝心の、本物の「おぬしさま」、京北片波の伏状台杉を見に行くツアー。

2016.1 001

2016.1 002

近所でありながら行ったことがなかったので、この機会にと行って見たところ、
度肝を抜かれました。
巨大な杉の持つスピチュアルパワーはもちろんあるのですが、
複雑怪奇なその造形は、
まっすぐに育つ杉を幹の途中で伐採して、枝分かれした部分も材として活用しようと考えた、
いわば人間の「欲」の産物。
森の中ではそんな人間の業も滑稽なものに写りますが、
大杉はそれを受け止め、その強靭な生命力で活路を見出そうとしたのが、
この造形なんだな、と感じます。
多湿なこの地域だからこその杉の生命力もありますが、
歴史深い京都らしい人間と森の関係性だな、と思いました。
陳腐な、「パワースポット」として消費されるような場所になって欲しくはないですが、
自然の力に感じ入ることができる場所としては、より多くの人に訪れて欲しい場所です。

絵本を通して深く考えるきっかけをもらった京北の大杉のこと。
多くの人に存在が知ってもらえればいいな、と思います。
原画は5月末までギャラリーに展示していますので、
是非起こしください!

「京北スタイル」展、出展します。

遅ればせながら、新年初ブログです。
やっぱりこれがなけりゃ京北の冬じゃない。

てな感じで、
大寒付近に雪景色。
暦は正確ですね。
さて、
来週より下記のイベントに参加いたします。
第3回『KEIHOKU Style』展
1月27日(水)〜2月2日(火)
京都マルイ6F

画像

京北在住の作り手の参加するクラフト展です。
そしてクラフト展としてだけでなく、
会場に貼られる写真や、
在住作り手の生の声で京北を紹介するイベントでもあります。
自分としては、京都市内で住環境がこんなにいいとこはないと思ってますから、
是非魅力をアピールしたいです。
木の皿など出品用に製作中。
イベントごとにろくろで作ってきた木の皿ですが、
今回は特に調子が良い。
イメージが形に直結するまでに、
出来てしまった傷を消す作業で形が崩れることがあったこれまでですが、
刃物操作の上達で、作業がスムーズになってきました。
陶芸などでは、焼成の際の形の崩れを「味」として捉えることが出来ますが、
木工ろくろの場合、削りあがった形そのものが勝負。
細かなニュアンスを大事にしていきたいです。

画像

イベント会期中は、
2月1日に妻を販売員として派遣します。
是非お立ち寄りください。

2015年 大晦日

今年も気づけば大晦日。
いつまでもゆるい寒さのせいで、
体が暦についていけてない感じがします。
おもての梅の木にも花がついてました。
完全に咲く時期間違えてしまってますが、
春にもう一度咲くパワーのこるんだろうか。

画像

子供さんのクリスマスプレゼントに、
お絵かきテーブルを作らせてもらいました。

画像
画像
画像

うちのブログに載っていたサイドテーブルのデザインをもとに、
細かなご希望を織り込みながら完成させました。
木部は栗、棚部分は籐編みです。
今年やった試みを少しずつ取り入れたような作品で、
一年を振り返りながらの仕事をさせてもらいました。
そして年末は、
来年6日よりの出店に向けての製作で締めくくりです。

画像

定番の曲げ盆、オーバルボックスに加え、
新たに折りたたみスツール、テーブルに取り組んでいます。
年明け早々のスケジュール、予想以上にハードです・・。

画像

梅田阪急9階祝祭広場にて、
1月6日〜11日まで。
6日と11日には妻と交代で在廊します。
是非お出かけください。
上記イベントのほかにも、
楽しげな新年を迎えられそうな案件が数件ありで、
まいてきた種が芽を出す年になる予感。
楽しみです。
皆さま、よいお年を。

展示会の様子

只今、新宿・伊勢丹での展示〜シェーカースタイルの影響展〜、開催中です。

画像

定番のオーバルボックスや、小物だけでなく、
ダイニングテーブルや、ロッキングチェアーもあり、
現在の我が工房の作品の幅を感じていただけるのではないか、と思います。
会期は来週の23日までです。足をお運びいただける方は是非。

画像
画像